4月の末ごろ
ステンドグラスのランプ修理のご依頼がありました。
背の高いランプで去年地震があったときに倒れてしまい、割れて穴が開いている
とのこと。
どのような状況なのか、どのくらいの範囲なのか見当がつかなかったので
ご自宅へ伺い、確認をさせていただきました。
とても素敵すぎるお家に背の高いランプが一つ。他にもたくさんの美術品などあり、目移りしそうになり
いやいや、今日はランプ修理のご依頼なんだ
と自分に言い聞かせながらランプを確認。お客様がおっしゃっていたとおり、ガラスがバリバリに割れて穴が開いた状況。簡単にチェックさせていただくと、16か所ほど割れやヒビなどありました。
破損個所が多いけど、この状況は直せるなぁ…
こんなに割れてしまい、さぞお辛かったでしょう…と思いながらお客様の話をお聞きすると、20年ほど前にご友人からプレゼントでいただいたランプとのこと。そして、悲しいことにそのご友人は天国へ召されたとお話をしてくださいました。
お客様にとってとても大事なランプ。
直ります?と不安そうなお客様。
直りますよ!と答える私。
ただ、大きなランプの修理は初めてで…
と正直に話すと
これで経験して?
とありがたいお言葉をいただきました!大切なランプを私に預けてくださるなんて。そして経験もさせていただけるなんて、とってもありがたい気持ちになりました。
その後、大事に工房へ運び、再度ライトを使って破損個所を確認しました。すると、全部で35か所ありました涙
20年前にプレゼントされたランプなので、まったく同じガラスがあるという望みは低い。
ランプをお預かりする際にお客様へお伝えしたところ、同じじゃなくてもいいよと言ってくださいましたが、私としてはできれば同じガラスがいいので、割れたガラスを確認しながら探しました。……うぅ…やっぱりない…。しょうがないので、極力似ている色のガラス、そしてライトを入れたときの色が似ているガラスにしようと探しました。
コロナ禍になってから、材料を仕入れるのが難しくなってしまい、欲しいガラスがなかなか
手に入りません。必要なガラス3種類中2種類は手に入ったのですが、1種類だけ探すのが困難でした。単色のガラスだとわりと簡単に見つかるのですが、何種類か混ざっているガラスはその時のガラス職人さんが作った色合いや色の流れなので、一つとして同じガラスはありません。見本の色を見ても本当にこの色なのか、青が多いガラスが届けば思っている色と異なるし…などと悩みに悩んで❝一か八か❞で発注。届いて色を確認すると、全面ではなかったのですが、なんとか使えそうな場所があったので一安心。
ガラスを探している間に出来るところまで作業を進めていたので、ガラスが届いてからは作業が進みました。ただ、一つ問題が…。はんだを溶かして割れているガラスを外すのですが、なかなかはんだが溶けない。
20年前のステンドグラスランプだから、はんだもきっと今とは違うのかもしれない。
それか、はんだごての温度が低い??
いや、いつもは問題なく溶けているんだけどな…
と色々と考えながら、手こずりながらも根気強く修理の作業を進めました。新しいガラスを入れ、なんとかはんだの作業は終了!!ここまでくればもうゴールが見えている!
洗浄→磨く→薬品で黒くする→ワックスを塗る…で修理の作業は無事に終わりました。
その後、お客様のご自宅へお届けに伺い、直した場所を確認していただくと
どこを直したのか全然わからない
とのお言葉をいただきました!嬉しい!!
そして元にあった場所へ設置。その後、初めて伺ったときに目移りした、たくさんある美術品を一つづつ見せていただきました。素敵なお品ばかりで心がキラキラした気分になりました。ありがとうございました。
お陰様で無事にお届け完了。
その後、ご主人も感激してくださったようで、写真とともにメッセージをいただきました!
本当素敵なランプ♡
今回は、本当に色々と勉強になることが多く、大事なランプを預けてくださったお客様には感謝の気持ちでいっぱいです。修理に3か月もかかってしまい、ご心配をおかけしてしまいましたが、喜んでいただけたのでほっと一安心です。
ご友人からプレゼントのぶどうのランプ、これからも大事にされつつ、光を灯してご夫婦の素敵な時間をたくさん過ごせますことを願っています☆
この度は本当にありがとうございました!!
Comments